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(2004年12月10日更新)

自治基本条例条文解説

自治基本条例条文解説について掲載しています。

アイコン自治基本条例(解説版)のワードファイルはこちら。(230KB)  

前文 
伊賀地域は、四方を山々に囲まれた盆地で、古来から伊賀の国として一つのまとまった圏域を形成してきました。隣接した地域に都が長年置かれていたこともあり、様々な影響を受けながらも、伊賀の人々により独自の文化や産業が築かれてきました。また、近年では、日本の中央部に位置する地理的な関係や交通機関の発達などから東西日本を結節融合する畿央地域としての特徴も有しています。
これまでの伊賀の自治について見たとき、中世には“惣(そう)”という村落の自治運営組織が存在し、その連合体として“伊賀の国”が形成されていました。
また、近年では、地方分権の流れや市町村合併を契機として、自分たちの地域は自ら治めていこうという“補完性の原則”の考え方や“住民自治”の実現が重要視され、伊賀市にとって欠かせないものとなっています。
こうした背景のもと、伊賀市の自治における市民の権利や責務を明らかにし、伊賀市の将来像である“ひとが輝く 地域が輝く”自立したまちの実現を確実なものとするため、自治基本条例を制定します。
【解説】
自治基本条例は、伊賀市の憲法としての位置付けたものであり、伊賀の特性、伊賀の自治、条例制定の理由について、前文としてまとめています。
「惣(そう)」・・・中世の自治組織の総称。特に、室町時代にみられる村落の運営機構である。
「補完性の原則」・・・家族や地域などの小さな単位で可能なことはそれに任せ、そこでは不可能若しくは非効率なものを、市町村や県、国などの大きな単位が行うという考え方。
  

第1章 総則 
(目的)
第1条 この条例は、伊賀市における自治の基本的な事項を定め、市民及び市のそれぞれの権利や責務を明確にし、住民自治のしくみを制度として定めることにより、伊賀市独自の自治の推進及び確立を目指すことを目的とする。
【解説】
条例の目的を「伊賀独自の自治の推進及び確立」であることを条文化し、明らかにしています。
 
(用語の定義)
第2条 この条例において、用語の定義は次のとおりとする。

  1. 市民 市内に在住、在勤又は在学する個人及び市内で活動する法人その他の団体をいう。
  2.  市議会及び市の執行機関を含めた地方公共団体をいう。
  3. 市議会 立法を主たる目的とする審議・議決機能を持つ市の意思決定機関をいう。
  4. 市の執行機関 市の行政事務を管理執行する機関をいう。
  5. 協働 市民及び市又は市民同士や各種団体がそれぞれに果たすべき責任と役割を認識し、相互に補完、協力することをいう。
  6. 自治 自分たちの地域は自分たちで責任を持ち自ら治めることをいう。  

(基本理念)
第3条 市民及び市は、次に掲げる基本理念により、まちづくりを推進するものとする。

  1. 補完性の原則に基づき、市民自身あるいは地域が自らの責任のもと、まちづくりの決定や実行を行うとともに、市は、これらの活動を支援し、また、市自らも改革を進めるなど、市民が主体となり地域の個性が生きた自治を形成する。
  2. 自然との共生を図り、各地域が有する様々な資源を有効に活用するなど次世代に引き継いでいくことができる持続発展可能な循環型の共生地域を形成する。
  3. 市民が情報を共有し、自由に行き来できる環境づくりに努めるとともに、他圏域と交流・連携を進めるなど、創造性あふれる地域を形成する。

【解説】
新市建設計画(新市のまちづくりを推進するための計画で、新市の総合計画に引き継がれる)におけるまちづくりの基本理念を引用しています。
(自治の基本原則)
第4条 市民及び市は、次に掲げる基本原則により自治を行うものとする。

  1. 市民は、まちづくりに関する情報を共有する権利を有する。
  2. 市民は、まちづくりに参加する権利を有する。
  3. まちづくりは、情報公開と市民参加により策定された計画に基づくものとする。
  4. まちづくりは、まず市民自らが行い、さらに地域や市が補完して行う。
  5. まちづくりは、市民や市など各主体が協働して行うよう努める。
  6. まちづくりの実施後は、その結果について評価を行う。

【解説】
伊賀独自の自治を行っていく上で必要不可欠な6つの原則について、新市建設計画を基に規定しています。

  1. 情報共有の原則
  2. 市民参加の原則
  3. 計画化の原則
  4. 補完性の原則
  5. 協働の原則
  6. 評価の原則

なお、この6つの原則に基づき市民憲章も制定されています。 
(この条例の位置付け・体系化)
第5条 この条例は、市政の基本事項について市が定める最高規範であり、市は、他の条例、規則等の制定改廃に当たっては、この条例の趣旨を踏まえ、整合性を図らなければならない。
2 市は、この条例の定める内容に即して、分野別の基本条例の制定に努めるとともに、他の条例、規則等の体系化を図るものとする。 
【解説】
本条例が、市における全ての条例、規則等の最高規範になるものと位置付けています。基本条例を中心として、市の他の条例規則等も体系化され、市の仕組みの全体像が明らかになります。
  

第2章 情報の共有 
(情報共有の原則)
第6条 市は、市民自らが考え行動するという自治の理念を実現するため、市政全般に関わる情報を速やかに市民と共有することに努めなければならない。 
【解説】
情報共有は、市から市民への情報提供だけでなく、市民同士の情報共有も含まれますが、ここでは市の情報共有の義務を明らかにしています。
 
(情報への権利)
第7条 市民は、法令により制限される場合を除いて、市に対しその有している情報の提供を要求し、取得する権利を有する。 
【解説】
情報を受ける権利、自ら取得する権利(アクセス権)について規定しています。
 
(意思決定過程の情報共有)
第8条 市は、市民に対し、市政に関する意思決定過程の情報を明らかにするよう努めなければならない。
2 市は、審議会その他の附属機関の会議を、原則として公開しなければならない。
【解説】
・第1項は、市として決定された情報を請求に基づき公開するだけでなく、議論途中の情報共有も重要なため、意思決定過程の情報を公開することに努めるよう定めています。
・第2項は、審議会等は、市政の重要な事項について、専門的な観点から討議、決定する機関であるため、原則として公開すべきことを定めています。
(情報共有のための制度)
第9条 市は、その有する情報を原則として公開しなければならない。
2 市は、市が出資若しくは補助、事務の委託又は職員を派遣している団体のうち、一定の基準を満たすものに関し、その情報公開を推進するため、必要な措置を講ずるよう指導に努めなければならない。
3 前2項に関することは、別に定める。
【解説】

  • ・情報公開条例に基づく情報公開制度について規定しています。
  • 第2項は、外郭団体の情報公開について規定しています。100%の出資団体については情報公開の対象とすることが当然ですが、地方自治法上、50%以上の出資団体については議会への報告義務があり、25%以上の出資団体については、監査委員の監査権が及ぶことから、これらの団体についても今後、情報公開の対象とすることが求められます。

(25%以上出資の団体)

  • (株)上野市産業会館
  • 伊賀市土地開発公社
  • (財)伊賀市文化都市協会
  • (社)大山田農林業公社
  • (有)新堂駅管理商会
  • (株)青山高原ウインドファーム

(情報の収集及び管理)
第10条 市は、市政運営に必要な情報の収集に努めなければならない。
2 市は、その有する情報を適正に管理しなければならない。

【解説】

  • 第1項は、伊賀独自の市政を行うのに必要な先進情報等について、ベンチマーキング(組織が改善活動を行うときに、業界を超えて世界で最も優れた方法、あるいはプロセスを実行している組織から、その実践方法を学び、自社に適した形で導入して大きな改善に結び付けるための一連の活動)などの手法により、常に収集すべきことを定めています。
  • 第2項は、情報の管理については、その所在を明確にし、必要なときに職員の誰もが引き出せるよう、ファイリングシステム(文書の私物化を排除し、即時にかつ誰もが検索できるよう、行政が保有する文書情報を一定のルールのもとに適正に管理すること)などにより適正に行うべきことを定めています。

(個人情報の保護)
第11条 市は、個人の権利及び利益が侵害されることのないよう個人情報の収集、利用、提供及び管理等について、必要な措置を講じなければならない。
2 前項に関することは、別に定める。
 【解説】
個人情報の保護については、ここでは方針のみを規定し、詳細については別条例に委ねることとしています。
  

第3章 市民の参加 
第1節 市民参加の権利と責務
 
(まちづくりに参加する権利)
第12条 私たち市民は、まちづくりの主体者であり、まちづくりを行う権利を有する。
2 この権利は、市民にとって基本的な権利であり、市民は、国籍、民族、性別、年齢、社会的又は経済的環境等にかかわらず、平等な立場で、まちづくりに参加することができる。
【解説】
市民がまちづくりの主体者であることを明らかにし、権利として位置付けています。すべての市民が、対等な立場でまちづくりに参加する権利があることを明記しています。特に、社会的に参加機会が比較的狭められがちな外国人、若年者、女性、障害者などへの配慮が必要なため、例示しています。まちづくりに参加しない権利については、次条で積極的なまちづくりへの参加を呼びかけていること、まちづくりへの参加はあくまで個人の自由な意思によるものであり義務ではないことから、明文化は避けています。
 
(まちづくりの参加における市民の責務)
第13条 私たち市民は、広い視野に立って自らの発言と行動に責任を持ち、積極的にまちづくりに参加するよう努めなければならない。
2 私たち市民は、多様な主体のまちづくり活動が自治を育てるということを認識し、互いの活動を尊重し、認め合いながらまちづくりを進めるよう努めなければならない。
【解説】
まちづくりには、広い視野に立った建設的な認識が必要であり、自らの発言と行動に責任を持つことが、自治を育てる重要な要件となるため規定しています。また、多様な主体のまちづくり活動とは、各種団体やNPO、事業者などの活動も含まれます。
 
(まちづくりの参加における市の責務)
第14条 市は、まちづくりを行う市民の自主的、自立的な活動を尊重するとともに、国籍、民族、性別、年齢、社会的又は経済的環境等にかかわらず、多様な主体がまちづくりに果たす役割を重視し、人づくりの推進や権利の保障、拡大に努めなければならない。
2 市は、企画立案、実施及び評価のそれぞれの過程において、市民参加の拡充に努めなければならない。

【解説】

  • 第1項は、まちづくりは、自主性・自立性が尊重されるものであり、市として、人づくりの推進や権利の保障、拡大に努めることを規定しています。市民のまちづくり参加権と同様に、社会的に参加機会が比較的狭められがちな外国人、若年者、女性、障害者などへの配慮を、市の責務としています。特に、伊賀市では地域社会の一員としての役割を果たしている定住外国人が多く居住していることから、参加機会が保障できるような施策が必要となっていいます。
  • 第2項は、新市建設計画にも掲載されている行政運営のマネジメントサイクルについて、それぞれの段階における市民参加について定めています。 

第2節 市民参加の制度保障 
(計画策定における市民参加の原則)
第15条 市は、市民参加のもと、基本構想及びこれを具体化するための計画(以下「総合計画」という。)を策定しなければならない。
2 市は、総合計画について、評価に基づいた進行管理に努め、市民参加のもと、柔軟に見直さなければならない。
【解説】
総合計画は市の最上位の計画であり、本条例の目的及び趣旨に沿って、策定に当たっては、市民参加によることを規定しています。総合計画の内容を効率的に推進するためには、適切な評価に基づき柔軟な見直しを行う必要がありますが、この際にも市民参加による議論を踏まえるよう規定しています。
 
(計画策定における市民参加の手続)
第16条 市の執行機関は、総合計画をはじめとする重要な計画の策定に際しては、その手続を公表し、意見を求めるよう努めるものとする。
2 市の執行機関は、前項の計画を決定しようとするときは、あらかじめ計画案を公表し、意見を求めるものとする。
3 市の執行機関は、前2項の規定により提出された意見について、採否の結果及びその理由を付して公表するものとする。
【解説】
いわゆるパブリックコメントに関する規定です。重要な計画とは、次の計画をいいます。

  1. 総合計画及び分野別並びに地域別の基本計画
  2. 市民生活に重大な影響を及ぼすことが予測される計画。

また、事前に公表すべき事項は、次のものが考えられます。

  1. 計画の概要
  2. 計画策定の日程
  3. 予定する市民参加の手法
  4. その他必要とされる事項

特に、計画策定にかかる市民参加の手続きが不十分な場合、計画内容に対してのみパブリックコメントを実施しても十分な民意が反映されにくいこともあるため、第1項の規定が設けられています。 
(審議会等への市民参加)
第17条 市の執行機関は、審議会その他の附属機関の委員には、公募の委員を加えるよう努めなければならない。
2 審議会その他の附属機関の委員の任命に当たっては、その機関の設置の目的に応じて、地域、性別、年齢、国籍などに配慮しなければならない。
【解説】
市民公募が行政運営上の責務であることを規定しています。公募には様々な方法があるため、詳細な定めはできませんが、市民の意見が反映される必要性を説いています。努力義務としているのは、審議会などによっては実質上、専門家のみで構成され、一般市民を公募するのが困難な場合があるためです。審議会等の詳細な定めは、個別の条例や規則、要綱等に委ねられ、委員については市長が任命することとなります。なお、個々の審議会ごとに公募枠の拡大に努めることが重要であると考えます。
 
(条例制定における市民参加の手続)
第18条 市は、まちづくりに関する条例を制定し、又は改廃しようとするときは、次のいずれかに該当する場合を除き、市民の参加を図らなければならない。

  1. 関係法令等の制定改廃に基づくもので、条例の制定改廃に政策的な判断を必要としない場合
  2. 用語の変更等簡易な改正で、実質的な変更を伴わない場合
  3. 前2号に準じた制定改廃の場合

2 市は、前項の条例の制定・改廃案を議会に提案しようとするときは、あらかじめ制定・改廃案を公表し、意見を求めるものとする。
3 市は前2項の規定により提出された意見について、採否の結果及びその理由を付して公表する。
4 提案者は、市民の参加の手法、参加の有無及び状況に関する事項を付して、議案を提出しなければならない。
【解説】
条例制定に関しても、計画策定と同様に市民参加によることを定めています。
まちづくりに関する重要な条例とは、次の条例をいいます。

  1. まちづくりの基本方針や分野別の基本方針を定める条例
  2. 市民に義務を課し、又は市民の権利を制限する条例
  3. その他、市民生活に重要な影響を及ぼすことが予想される条例  

第3節 市民投票 
(市民投票の原則)
第19条 市長は、市政に関わる重要事項について、直接市民の意思を確認するため、議会の議決を経て、市民投票の制度を設けることができる。
2 市民投票に参加できる者の資格その他の市民投票の実施に必要な事項は、それぞれの事案に応じ、別に定める。ただし、投票資格者を定めるに当たっては、定住外国人や未成年者の参加に十分配慮する。
3 市長は、市民投票を行うに当たっては、市民投票結果の取扱いをあらかじめ明らかにしなければならない。
【解説】
市の重要な政策判断が必要な事項については、住民に対する最終意思確認の手段として、市民投票ができることを規定しています。事案により、投票資格者の範囲が異なる場合もあるため、案件ごとに個別条例により定めることとしています。条例で定めることとしたのは、市の重要な意思決定は、市長のほか市議会も市民の代表として、その役割を果たすべき存在であることから、市民投票をすべきか否かを市議会の判断に委ねたためです。
市長が市民投票結果の取扱いをあらかじめ明らかにするようにしたのは、市民が投票結果の扱われ方を事前に承知したうえで投票に臨むことにより、投票結果をより有効なものとする必要があるためです。
 
(市民投票の実施)
第20条 市長は、有権者がその総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から市民投票に関する条例の制定の請求があり、当該条例が議決されたときはこれを実施しなければならない。
2 市民投票は、投票者の総数が当該市民投票の投票資格者数の2分の1に満たないときは成立しない。この場合において、開票作業その他の作業は行わないものとする。
【解説】
条例制定の直接請求権は、地方自治法により行うことができますが、市民参加の重要な手法のため、当該条例でも50分の1以上の者の署名で請求できることを明記しました。あわせて、市民投票は、市の重要事項に対して行うため、一部の市民の意見表示で決定されることのないよう、投票率が当該市民投票の有資格者の2分の1に満たない場合は無効と定めています。
  

第4章 住民自治のしくみ 
第1節 住民自治
 
(住民自治の定義)
第21条 住民自治とは、共同体意識の形成が可能な一定の地域において、市民が地域を取り巻く様々な課題に取り組み、市民が主役となったまちづくりを行う活動をいう。
2 住民自治活動の主体は、自治会をはじめ、ボランティア・市民活動団体、地域の良好な生活環境づくりに貢献する事業者などのほか、まちづくり活動に積極的に参加する個人も含まれるものとする。

【解説】

  • 住民自治の概念が社会的に定着しているわけではないため、定義を設けました。全国の事例ではコミュニティという表現が用いられている例もありますが、より具体的な説明を日本語により表現するよう努めました。
  • 第2項の活動主体は、新市建設計画の内容を条文化したものです。

(住民自治に関する市民の役割)
第22条 私たち市民は、住民自治活動の重要性を認識し、自ら住民自治活動に参加するよう努めなければならない。
2 私たち市民は、住民自治活動を行う団体等を支援するよう努めなければならない。

【解説】

  • 伊賀市の場合、補完性の原則により、まず市民自身が住民自治活動について認識し、実践し、支援していくことが重要となっていることから、市民の役割を条文化しました。
  • “住民自治を行う団体等”は、市民自身が判断して個々に支援していきます。

(住民自治に関する市の役割)
第23条 市は、市民が自主的かつ主体的に行う住民自治活動を尊重しなければならない。
2 市は、非営利、非宗教及び非政治の住民自治活動に対しては、必要に応じてこれを支援する。

【解説】

  • 第1項は、市の住民自治に対する認識を確認するため設けました。
  • 第2項は、住民自治活動が自主・自立したものであることが原則のため、市による支援は、補完性の原則に基づき、あくまで“必要に応じて”行なうと明記しました。
  • 第2条との関係で整理すれば、まず個人で「自助」をし、次に地域「互助・共助」をし、そして市が「公助」すべきことを表しています。

第2節 住民自治協議会 
(住民自治協議会の定義・要件)
第24条 住民自治協議会とは、共同体意識の形成が可能な一定の地域において、そこに住むあらゆる人が自由に参加でき、地縁団体や目的別団体などとともに、身近に地域の課題を話し合い、解決できるよう、地域住民により自発的に設置された組織で、各号に掲げる要件を満たすものをさす。ただし、一つの地域は、複数の住民自治協議会に属することができない

  1. 区域を定めていること。
  2. 会員には、その区域に住む又は活動する個人、団体、事業者等であれば、誰でもなれること。
  3. 組織設置の目的が、その区域に住む又は活動する個人、団体、事業者等の相互の連絡・親睦、地域環境の整備など良好な地域社会の形成に関するものであること。
  4. 目的・名称・区域・事務所の所在地・構成員の資格・代表者・会議などを明記した規約を定めていること。
  5. 組織全体の運営に当たる役員や代表者は、地域、性別、年齢、国籍などに配慮し、民主的に選出されたものであること。

【解説】

  • 住民自治協議会には権限の付与や財政支援をするため、一定の要件を設けることとしました。ただし、地域の事情により、柔軟な設置が可能となるよう要件の内容については大まかなものにしています。
  • 住民自治協議会の設立に当たっては、自治会(区)が中心的な役割を果たしていく必要があると考えられます。
  • 第1号の区域については、新市建設計画では「小学校区」を基本としていますが、学校統廃合の関係もあり、一律に「小学校区」と規定できないため、「共同体意識の形成が可能な一定の地域内」と定め、具体的な区域については、地域住民が決めるべきものとしています。
  • 第4号の規約については、将来、住民自治協議会が法人化にも移行できるよう既存の法人化制度の要件も勘案し、目的・名称・区域・事務所の位置・構成員の資格・代表者・会議などについて少なくとも規定するよう定めています。 

(住民自治協議会の設置)
第25条 前条に規定する住民自治協議会が設立された場合、その代表者は、市長に設置の届出をする。
2 市長は、住民自治協議会の設置の届出があった場合、当該協議会を市長の諮問機関及び市の重要事項に関する当該地区の同意・決定機関とする。
【解説】
新市建設計画の内容を条文化しています。届出の詳細については規則で定めます。 
(住民自治協議会の権能)
第26条 住民自治協議会は、市長の諮問に応じ、当該地区に係る次の号に掲げる事項を調査審議し、市長に答申する。市長は、住民自治協議会の答申を尊重しなければならない。

  1. 新市建設計画の変更に関する事項
  2. 市の総合計画の策定及び変更に関する事項
  3. その他市長が必要と認める事項

2 住民自治協議会は、当該地区において行われる住民に身近な市の事務の執行等について、当該組織の決定を経て、市長に提案することができる。市長は、住民自治協議会の提案を尊重する。
3 市長は、当該地区において行われる住民生活と関わりの深い市の事務で、当該地区に重大な影響が及ぶと考えられるものについて、あらかじめ住民自治協議会の同意を得るものとする。住民自治協議会の同意を必要とする市の事務については、市長が別に定める。
4 市長は、当該地区において行うことが有効と考えられる市の事務について、住民自治協議会が当該事務の受託を行う意思を決定した場合は、その決定を尊重する。
5 住民自治協議会は、提案、同意、決定に必要な情報を求め、又は質問をすることができる。その場合、市長は住民自治協議会に情報を提供し、又は質問に対して回答しなければならない。
【解説】

  • 新市建設計画の内容を条文化しています。条文上は市長の諮問機関として位置付けていますが、実際には支所長に権限を委任し、支所で対応することを基本とします。
  • 第1項の諮問権については、地域審議会を参考に諮問内容を整理しました。全てを規則に委ねてしまうと行政側の都合のみで権能が狭められてしまう恐れがあるため、重要な項目については条例で位置付けるよう配慮しています。
  • 第2項の提案権については、より強力な勧告とする考えもありますが、住民自治協議会が専門的な審議機関ではないことや市の上位機関でもないため、現実に則して提案権として位置付け、市長が尊重することとしました。
  • 第3項の同意権については、対象とする事項の内容を条例で列挙すると追加・変更等に柔軟な対応ができないため、規則に委ねることとしました。新市建設計画では、(1)都市計画の地区計画、(2)地区内の生活道路の維持管理・修繕に関する事項(箇所付けや順位付けなど)、(3)一定規模以上の開発・建築などが例示されていますが、具体的な内容については、今後、関係法令とも整合を図りながら、専門的な観点からの検討が必要です。
  • 第4項の決定権については、行政側が住民自治協議会に委託可能な業務をメニュー提示し、地域の判断により市業務の受託について決定するものです。具体的な業務としては、“地区内の公共施設等の維持管理”が当面考えられ、これは新市建設計画における自治センターなどを念頭においています。なお、公共施設の管理委託を行う場合には、指定管理者制度のあり方についても合わせて検討しておく必要があります。また、住民自治協議会の自主的な活動や意欲を引き出すために、当該協議会で決定された内容を尊重するよう規定しています。 

(住民自治協議会への支援)
第27条 市は、住民自治協議会が設置された場合には、次の各号に掲げる支援を行う。

  1. 住民自治の活動拠点の提供
  2. 住民自治活動に対する財政支援
  3. その他住民自治の推進に関すること。

2 前項に定める支援の単位は、別に定める機関により審議決定する。
【解説】

  • 第1項については、第1号の住民自治の活動拠点とは、新市建設計画における「自治センター」を指します。第2号の財政支援の詳細な内容は別条例又は規則等で定めます。第3号のその他住民自治の推進に関することとは、情報提供などを含めた人的支援を指します。
  • 第2項については、伊賀市が財政などの支援をしていく単位としては、公平な観点から区域を定める必要があるため、これについて審議する機関「住民自治区域検討作業部会」を別途設置し、決定します。また、新市発足後、人口の変動や住民自治協議会の統合・分離などにより、支援の単位に変更が生じる可能性があるため、第2項において、これを審議決定する機関を設置することとしました。 

(地域まちづくり計画)
第28条 住民自治協議会は、自らが取り組む活動方針や内容等を定めた地域まちづくり計画の策定に努めるものとする。
2 前項に規定の計画を策定した場合、その代表者は、市長に届出をするものとする。
3 市は、総合計画をはじめとする重要な計画を策定する際には、広域的な観点から調整が必要な場合を除き、第1項の地域まちづくり計画を尊重するものとする。
4 市は、第1項の地域まちづくり計画の策定を必要に応じ支援するものとする。
 【解説】
新市建設計画の内容に基づき、住民自治協議会の計画を市が尊重する条項を設けました。実際には、支所単位で策定予定の新市総合計画ブロック別地区計画と内容の整合を図る事になります。
  

第3節 地域振興委員会 
(地域振興委員会の設置)
第29条 市長は、住民自治協議会が設立されていない地域について、当該地区の住民生活に密接に関係し、当該地区の事情を十分に踏まえる必要のある市の事務について審議する機関として、地域振興委員会を置く。
2 前項に定める地域振興委員会の設置の単位は、別に定める機関により審議決定する。
【解説】

  • 新市建設計画の内容を条文化しました。当該条例の施行時までに全ての地域で住民自治協議会が設立される場合、この条文は不要となります。
  • 住民自治協議会を設立中の地域においては、条例施行時に住民自治協議会が未設立の場合、市長は、地域住民の意向を踏まえて、地域振興委員会を設置すべきかを現実には判断することになります。
  • 設置の単位については、別途審議する機関を設け、地域住民の意向も聞きながら決定されます。 

(地域振興委員会の所掌事務)
第30条 地域振興委員会は、市長の諮問に応じ、当該地区に係る次の号に掲げる事項を調査審議し、市長に答申する。市長は、地域振興委員会の答申を尊重しなければならない。

  1. 新市建設計画の変更に関する事項
  2. 市の総合計画の策定及び変更に関する事項
  3. その他市長が必要と認める事項

2 地域振興委員会は、市長の諮問に関連する事項のほか、当該地区において行われる住民に身近な市の事務について、当該組織の決定を経て、市長に提案することができる。市長は、地域振興委員会の提案を尊重する。
3 地域振興委員会は、市長に対し、前2項に定める調査審議のために必要な情報を求め、又は質問をすることができる。その場合、市長は地域振興委員会に情報を提供し、又は質問に対して回答しなければならない。 
【解説】
地域振興委員会は市長の諮問機関と条例上は位置付けられていますが、実際には市長から支所長へ権限が委任され、実質的には支所長が対応することになります。 

(地域振興委員会の委員の任命方法)
第31条 地域振興委員会の委員は、当該地区の住民のうち、当該地区において活動する諸団体からの推薦を受けた者及び募集に応じた者の中から市長が任命する。
【解説】
地域振興委員会は市長の諮問機関と条例上は位置付けられていますが、実際には市長から支所長へ権限が委任され、実質的には支所長が対応することになります。
 
(規則への委任)
第32条 地域振興委員会の委員の定数、任期、報酬、委員長、会議、会議の公開及び庶務については、別に定める。
【解説】
詳細な内容については規則により定めることとしました。
  

第4節 住民自治地区連合会 
(住民自治地区連合会の設置)
第33条 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第155条第1項で定める支所の管轄する区域ごとに複数の住民自治協議会又は地域振興委員会が設置される場合、市長は、支所単位に住民自治協議会又は地域振興委員会の代表者などで構成する住民自治地区連合会を設置する。
【解説】
新市建設計画には記載はありませんでしたが、合併協議により決定された事項のため、条文として規定しました。

(住民自治地区連合会の所掌事務)
第34条 住民自治地区連合会は、市長の諮問に応じ、当該地区に係る次の号に掲げる事項を調査審議し、市長に答申する。市長は、住民自治地区連合会の答申を尊重しなければならない。

  1. 新市建設計画の変更に関する事項
  2. 市の総合計画の策定及び変更に関する事項
  3. その他市長が必要と認める事項

2 住民自治地区連合会は、市長の諮問に関連する事項のほか、当該地区において行われる住民に身近な市の事務について、当該組織の決定を経て、市長に提案することができる。市長は、住民自治地区連合会の提案を尊重する。
3 住民自治地区連合会は、市長に対し、前2項に定める調査審議のために必要な情報を求め、又は質問をすることができる。その場合、市長は住民自治地区連合会に情報を提供し、又は質問に対して回答しなければならない。
【解説】
新市建設計画には記載はありませんが、合併協議により決定された事項のため、条文として規定しました。
(規則への委任)
第35条 住民自治地区連合会の委員の任命、定数、任期、報酬、連合会長、会議、会議の公開及び庶務については、別に定める。
【解説】
詳細な内容については規則により定めることとしました。  

第5節 住民自治活動を補完する機構 
(住民自治活動を支援する機関の設置)
第36条 市は、市民が主体となった住民自治活動などを支援するため、この役割を果たす機関を設置する。
【解説】
新市建設計画では、(仮称)市民活動支援センターがその役割を担う機関として位置付けられています。この市民活動支援センターが設置されるまでの間は支所がその役割を果たすことになります。
(住民自治活動を補完する行政機関の設置)
第37条 市は、住民自治活動をできるだけ市民に身近なところで支援するため、法第155条第1項で定める支所を設置し、市民が自主的かつ主体的に自治を行えるよう、地域の実情に応じた柔軟な対応に努めなければならない。
2 市長は、前項で定めた目的を達成するため、市長の権限に属する事務のうち市民に身近な事務を積極的に支所長へ委任するよう努めなければならない。

【解説】

  • 新市建設計画の内容に基づき、支所において柔軟な対応ができ、住民自治の推進につながるように条文を設けました。市長から支所長への権限委任の詳細については決裁規程により定めることになります。
  • 行政組織の設置や組織内分権については、自治基本条例の「行政の役割」の中で位置付けることも可能ですが、補完性の原則に基づき、住民自治を補完する役割として、市民活動支援センターとともに、あえてこの部分に位置付けています。 

第5章 議会の役割と責務 
(議会の役割と権限)
第38条 市議会は、法令で定めることにより、有権者により選出された議員によって構成される市の意思決定機関である。
2 市議会は、市の重要な政策について議決する権限及び市政運営を監視し、牽制する機能を有する。
3 市議会は、法令で定めるところにより、条例の制定改廃、予算、決算の認定等を議決するとともに、執行機関に対する検査及び監査請求等の権限を有する。
【解説】

  • 議会は地方自治法により設置の根拠がありますが、伊賀市としての自治基本条例に議会を位置付けておくことが重要であるため、あえて規定しています。
  • 議会が市の重要な政策の意思決定を行う機関であることを明記し、議会の役割を明らかにしています。
  • 第3項は、地方自治法に基づき、様々な権限を有することを例示しています。 

(議会の責務)
第39条 市議会は、市政の審議・議決機関であることの責任を常に認識し、長期的展望をもって意思決定に臨むとともに、市政の点検と改善とその実施を求め、活動しなければならない。
2 市議会は、行政活動が常に民主的で、効率的に行われているかを調査・監視するとともに、市の政策水準の向上を図り、市独自の施策を展開させるため、立法機能の強化に努めなければならない。
3 市議会の会議は討論を基本とし、議決に当たっては意思決定の過程及びその妥当性を市民に明らかにしなければならない。
4 市議会の組織及び議員の定数は、法令の範囲内でこの条例に基づく議会の役割を十分考慮して定めなければならない。
【解説】

  • 議会の責務について、市政への民意の反映や市政に対する調査・監視の役割を明記しています。
  • 第2項では、伊賀市の実情に応じた独自の施策展開を進めるため、立法機能の強化について明記しています。
  • 第4項は、議会の組織に関する方針を定めています。(議会の情報共有と市民参加)

第40条 市議会は、議会が有する情報を公開するとともに、全ての会議を原則として公開とし、立法過程から市民と情報を共有するよう努めなければならない。
2 前項に関することは、別に定める。
3 市議会は、議会活動に関する情報を市民に分かりやすく説明する責任を有し、情報提供の充実に努めなければならない。
4 市議会は、会期外においても市政への市民の意思の反映を図るため、市の施策の検討、調査等の活動をし、市民との対話の機会を設けなければならない。
5 市議会は、議会の会議に出席を求めた者を協議に加えることができる。
6 市議会は、市民からの請願等に関して、その趣旨や意見を表明する機会を設けなければならない。
【解説】

  • 議会の情報公開については、伊賀市情報公開条例に基づき実施されています。
  • 議会の会議とは、本会議のほか臨時議会、常任委員会、特別委員会、全員協議会など議会が主催する全てのものを指します。
  • 情報の共有については、行政の場合と同様に意思決定過程の情報も含めており、公開よりも一歩進んだ情報提供を市民に分かりやすくすることが重要です。
  • 第3項及び第4項は、議会への市民参加について定めています。議員は選挙により全てを付託されたとは言えないため、特に選挙後に生じた市の重要な事項については、少なくとも市民の参画が求められます。
  • 幅広い市民の参画や、議会と市民の対話システムの構築の観点から、第5項、第6項を規定しました。

(議員の責務)
第41条 市議会議員は、市民の負託に応え、公平・公正かつ誠実に職務を遂行しなければならない。
2 市議会議員は、市民の代表者としての品位と責務を忘れず、常に市民全体の福利を念頭におき行動しなければならない。
3 市議会議員は、議会の責務を遂行するため、常に自己の見識を高めるための研鑽を怠らず、審議能力及び政策提案能力の向上に努めなければならない。
【解説】

  • 第1項及び第2項については、全国の事例を参考にまとめたものです。旧上野市では、下記の政治倫理条例や口利き折衝に係るルールを求める決議がされていました。
    ・上野市政治倫理条例 (平成8年12月26日 条例第33号)
    (政治倫理基準等)
    第3条 議員は,市民全体の代表者としてその品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み,その職務に関し不正の疑惑をもたれるおそれのある行為をしてはならない。また、政治倫理基準に反する行為として政治的,道義的批判を受けたときは誠実に疑惑を解明し,その責任を明らかにしなければならない。
    ・口利き折衝に係るルールを求める決議 (平成14年6月25日)
    行政職員におかれては、各級議員、団体等により行政の方針と著しく異なるなど対応が困難な働きかけがあった場合は、その内容を明確に文書化して上司に報告をし、上司はその内容を保管し、情報公開の対象とする。
  • 第2項では、議会議員が特定の地域や特定の団体などの代表ではなく、市民全体の代表として行動すべき旨を定めています。
  • 第3項は、先に定めた議会の役割や責務を果たすため、専門研修等を通じた資質の向上に努めていく旨を定めています。特に、分権時代において独自の政策立法が求められており、これに対応した自己研鑽が不可欠です。

第6章 行政の役割と責務 
第1節 行政の責務
 
(行政の役割と権限)
第42条 市の執行機関は、法令で定めるところにより、条例、予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令等に基づく事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理し、執行する機関である。
2 市長は、市の執行機関を統括し、これを代表する。
3 市長は、議案の提出、予算調製、地方税の賦課徴収、財産の取得及び公文書類の保管等、市の事務を執行する権限を有する。
【解説】

  • 行政の役割と権限について地方自治法に基づき規定しました。
  • 第1項は、執行機関の役割について明らかにし、第2項及び第3項は市長の役割と権限について規定しました。
  • 第3項について、地方自治法では、1.議会の議決を経つべき議案の提出2.予算の調整及び執行3.地方税の賦課徴収及び分担金、使用料、手数料などの徴収4.決算を議会の認定に付す5.会計を監督6.財産の取得、管理及び処分7.公の施設の設置、管理及び廃止8.証書及び公文書類の保管など市長の担任事務について規定しています。

(市長の責務)
第43条 市長は、市民の負託に応え、市政の代表者としてこの条例の理念を実現するため、公平・公正かつ誠実に市政を執行しなければならない。
【解説】
地方自治法第138条の2の規定「執行機関の責務」を本条例の理念に則り、市長の責務という視点から具体化しました。市長は、責任を負って市民から任せられるという意味合いから“信託”ではなく、“負託”という表現を用いています。 

(執行機関の責務)
第44条 市の執行機関は、市の事務の企画立案、実施及び評価において、内容、効果を市民に明らかにし、分かりやすく説明しなければならない。
2 市の執行機関は、その権限と責任において、公平・公正、誠実、迅速かつ効率的に職務を執行しなければならない。
【解説】

  • 市は、行政活動の内容について、計画、実施、評価の各段階において、市民に分かりやすく説明する責任があることを定めています。
  • 第2項は、公務員としての倫理観を有する必要性を規定しています 

(職員の責務)
第45条 市の職員は、その職責が市民の負託に基づくことを自覚し、この条例に定める原則及びこれに基づいて創設される制度を遵守して、職務を遂行しなければならない。
【解説】
市の執行機関の責務の中で職員も含めて整理していますが、この条例を遵守・遂行していく職員の役割は大きいことから別条文として設けています。
  

第2節 行政運営の方針 
(執行体制の整備)
第46条 市は、社会情勢の変化に対応し、市民に分かりやすく機能的かつ効率的な執行体制を整備するとともに、組織の横断的な調整を図らなければならない。
【解説】
組織編成は、社会や経済の情勢にすばやく対応していく必要があるため、市の責務として定めています。また、分断されたタテ割組織とならないよう、横断的な連携や調整が必要なことを定めています。
 
(法務体制)
第47条 市は、自主的で質の高い政策を実行するため、法務に関する体制を充実し、条例、規則等の整備を積極的に行なわなければならない。
【解説】
平成12年4月に地方分権一括法が施行されて以降、市職員は法令について自主解釈をすることが求められ、また、地域独自の自治に必要な政策条例の制定が求められていることから、法務体制の充実について規定しています。また、議会についても立法機能の強化が求められていることから、議会事務局についても法務体制の充実が求められます。
 
(職員政策)
第48条 市長は、多様化する市民の行政需要に対応できる知識や能力を持った職員の人材育成を図らなければならない。
2 市は、職員が自己の能力を向上させることができるよう政策研究及び研修システムを充実させ、自己研鑽のための多様な機会の保障に努めなければならない。
3 市の職員は、地域の政策課題に適切に対応していくため、政策能力の向上に努めなければならない。
【解説】

  • 第1項は、市の事務の執行を担う職員の人材育成について規定しています。
  • 第2項は、分権時代に対応できる職員のレベルアップを図るため、政策研究や各種専門研修の充実が求められます。 

(公益通報)
第49条 市の職員は、行政執行の公正を妨げ、市政に対する市民の信頼を損なう行為で、市民全体の利益など公益に反する恐れのある事実がある場合は、その事実を別に定める機関に通報することができる。
2 前項に関することは、別に定める。
【解説】
公益通報(内部告発)制度は、市の行政運営の適正化に資するためのものであり、今や必要なものであるとの考えから規定しています。 
(苦情等への対応)
第50条 市は、市民から苦情、要望、提言、意見等があったときは、速やかに事実関係を調査し、誠実に答えるよう努めなければならない。
2 市は、市民から法令に規定する直接請求、争訟制度の手続等の方法について説明を求められたときは、説明をしなければならない。
3 市は、市民の苦情、要望、提言、意見等に対応するため、適正な機関の設置に努めなければならない。
【解説】

  • 第1項は、市職員全員が市民からの苦情、要望、提言、意見等に対し、誠実に応答することが求められるため、規定しました。また、組織としての対応を確実なものとしていくためには、行政経営品質向上活動など具体的な取り組みが必要です。さらに、職員一人ひとりの意識改革や各種手続きへの対応が可能となるような職員のレベルアップが必要となります。現行の法制度上(行政手続法・行政不服審査法など)においても用意されているが、市民が容易に利用できるものではないため、まずは、窓口で職員が対応することの必要性を規定しています。
  • 第3項は、市民が行政から不利益処分を受けた場合、当事者間の話し合いでは解決が難しい場合が多いため、救済の機関を設置すべきことを定めました。市民を保護する観点から、公設オンブズマンに限らず、広聴・相談窓口機関を設置する方法なども検討が必要です。

第3節 財務 
(財政運営の基本方針)
第51条 市長は、予算の編成及び執行に当たっては、総合計画を踏まえて行い、最小の経費で最大の効果をあげられるよう努めなければならない。
2 市長は、中長期的な展望に立った自主的かつ健全な財政運営を行わなければならない。
【解説】
予算編成、執行に当たり総合計画と整合を図る必要性を定めています。 
(財政基盤の強化)
第52条 市は、自主課税制度導入など、市民負担のあり方や市有財産の活用等を検討し、国及び県に対して税源の移譲を求めるなど、市の自立した財政基盤の強化に努めなければならない。
【解説】
市民、事業者からいただいた税金をいかに有効に使うかという財政政策だけでなく、いかに適正に税金を徴収するかという税政策の必要性についても、新市建設計画策定時に議論されたため規定しました。 
(予算編成、予算執行)
第53条 市長は、予算の編成に当たっては、予算に関する説明書の内容の充実を図るとともに、市民が予算を具体的に把握できるよう分かりやすい情報の提供に努めなければならない。
2 市長は、市の事務の予定及び進行状況が明らかになるよう予算の執行計画を策定しなければならない。
【解説】

  • 第1項は、予算書は一般的に市民には分かりにくいものとなっており、行政サービスとコストの関係が明確でないため、市民に分かりやすく公表していくことを規定しました。
  • 第2項は、旧の6市町村では分かりやすいものが行われていなかったため、伊賀市では、具体化に向けた早急な検討を行っていきます。

(財産管理)
第54条 市長は、市の財産の保有状況を明らかにし、財産の適正な管理及び効率的な運用を図るため、財産の管理計画を定めなければならない。
2 市長は、市の財産の保有状況についての情報を求められた場合は、速やかに公開しなければならない。
【解説】
市の財産について、明確な計画にもとづく管理の必要性を規定しました。ストックとしての財産は市民にとって分かりにくいため、情報の公開が求められます。
 
(財政状況の公表)
第55条 市長は、予算の執行状況並びに財産、地方債及び一時借入金の現在高その他財政に関する状況について、所見を付して分かりやすく公表しなければならない。
 【解説】
財政状況の公表は、地方自治法にも規定されているが、市の運営にとって重要なため、本条例でも定めることとしました。また、市長の見解をつけて市民にわかりやすく公表する必要性を定めました。
  

第4節 評価 
(行政評価)
第56条 市は、総合計画等の重要な計画、予算、決算、事務内容等について評価を実施する。
2 市は、前項の評価の結果を分かりやすく市民に公表し、政策及び事務執行に反映するものとする。
3 前2項の評価は、常に最善の方法で行うよう改善に努めなければならない。
【解説】
現状では評価の手法が定着していないので、各種計画、予算、決算、事務内容などの項目ごとに評価することを市の義務としました。市は、評価の結果を公表するだけでは意味がないので、政策や事務に生かし改善していくことを規定しました。また、旧の6市町村では、評価を全く実施していなかったため、伊賀市では、具体化に向けた早急な検討を行っていきます。
 
(外部監査)
第57条 市は、公平・公正で効率的な行政運営を確保するため、専門性及び独立性を有する外部監査人による財務事情及び特定の事業等に関する監査を実施する。
【解説】
行政の透明性を高めるため、第3者による監査を導入する必要があることを規定しました。法律上は都道府県、政令指定都市、中核市(要件:人口30万人以上など)に外部監査が義務付けられていますが、伊賀市(人口10万人)では、新市建設計画でも盛込まれており、透明性の高い行政運営を図る観点から実施することが規定されました。また、旧の6市町村では、外部監査を全く実施していなかったため、伊賀市では、具体化に向けた早急な検討が必要です。  

第7章 条例の見直し 
(この条例の検討及び見直し)
第58条 市は、この条例の施行後4年以内に施行状況を勘案し、検討の上、その結果に基づいて必要な措置を講じるものとする。
【解説】
見直しの期限を付けたのは、時代経過による条例の形骸化を防止し、その時代に即した条例に育てていくためであり、市長の任期ぐらいが適当との考えから、4年以内としています。

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