同和問題とは
- [公開日:2020年1月17日]
- [更新日:2020年1月17日]
- ID:3535
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同和問題は、封建時代の身分制度に起因する差別が、現在もなおさまざまなかたちで現れているわが国固有の人権問題であり、人間の自由と平等が完全に保障されていないという基本的人権にかかわる重大な社会問題です。
1871(明治4)年に明治政府は、いわゆる解放令を発布し、蔑称が廃止されましたが、身分と職業が平民なみに扱われることを宣言しただけにとどまり、現実の社会においても実質的な解放を保障するものとはなりえませんでした。
当時、国は差別の原因を同和地区の実態にあるとし、部落改善事業等の融和施策を実施しましたが、十分な効果を上げるにいたりませんでした。
その後、大正デモクラシー期に社会主義運動が起こる中、1922(大正11)年に日常生活の中で差別を受け続けてきた人々が、自らの手で全国水平社を結成し、自主的解放運動が拡がっていきました。それを契機としてようやく同和問題の重要性が認識され、政府は国の予算の中で新しく地方改善費の名目による地域の環境整備を行うようになりました。
しかし、それらの部分的な改善によって同和問題の根本的な解決が実現するはずはなく、同和地区住民は依然として、差別の中で貧困な状態に置かれてきました。
部落差別については、同和地区の存在そのものや同和問題に関する認識そのものに差別の原因があるとする考え方から、いわゆる「部落分散論」や「寝た子を起こすな意識」が長い間存在し、今でもこうした考え方を持つ人は少なくありません。これに対して、1965(昭和40)年に出された同和対策審議会答申は、「寝た子を起こすな」式の考えを否定しました。
この答申では、「同和問題の解決は国の責務であり、国民的課題である」と明言するとともに、差別の原因を「同和地区の低位で劣悪な生活の状態」、「同和問題に対する無知と偏見が蔓延している状態」にあるとし、この実態的差別と心理的差別が相互に因果関係を保ち相互に作用しあって、この相関関係が差別を再生産する悪循環を繰り返しているという認識に立ち、総合的な施策を講じることが必要であると指摘しています。
その後、法に基づき、同和問題の解決は地区外との格差是正のための住宅や生活環境の改善と意識変革のための同和教育、人権啓発を大きな柱として進められてきました。
これらの同和対策事業により、生活環境の改善をはじめハード面においては一定の成果を上げてきました。
こうした中で、2002(平成14)年に33年間続いた同和対策事業関連法は失効しましたが、同和問題は依然として解決されておらず、今なお、多くの差別事件・差別事象が発生しており、その内容は悪質かつ陰湿化してきています。また、同和地区における生活の実態や市民の差別意識の解消においても、なお多くの課題が残されています。