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あしあと

    言い伝えや慣習って人権問題?

    • [公開日:2025年9月5日]
    • [更新日:2025年9月5日]
    • ID:13376

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    ひのえうま(丙午)について考えてみましょう

    私たちは、誰もが今までの人生経験で、様々な人と出会い、教育を受け、色々な人と関係を築き、生活しています。

    その中で、自分自身が置かれた環境により、可能な限り生きやすい生き方を選び、社会の立ち位置を考え、様々な経験をしてきています。

    そうして得られた考え方や慣習の中に、ふとしたときに表に出たことで、思いもよらず人を傷つけたち、生活が制限されてしまう事があります。こういった現象を「無意識の偏見」と呼ばれています。この「無意識の偏見」が差別につながることがあります。

    来年、2026年は「ひのえうま(丙午)」の年にあたります。「ひのえうま」から「無意識の偏見」について考える機会としてみてください。


    ひのえうま(丙午)は、干支の一つ、干と支の組み合わせの43番目にあたります。

    丙は太陽の性質を表していて、華やかで影響力がある特性とされています。

    また、午は、真夏の太陽を表していて、まっすぐで華やかな特性とされています。

    ひのえうまは、両方が太陽の性質を持っていて、真夏の太陽のような「情熱」「行動力」「カリスマ性」「高潔さ」「エネルギッシュ」という雰囲気があると見なされます。

    ひのえうまの年は、60年に一度巡ってきて、次のひのえうまの年は2026年にあたります。


    60年前のひのえうまは、1966年です。この年に生まれた人を人口のグラフで見てみると、切り欠きのように生まれた人が少ないということが分かります。これは、ひのえうまの年に生まれた女性は、気性が激しいため、夫の寿命を縮めるという迷信によるものです。

    国立社会保障・人権問題研究所資料より

    ひのえうまの迷信の起源は、干支が生まれた中国で、「ひのえうまとひのとみ(丁巳)の年は、天災が多く起きる」といわれていたことにあります。この言い伝えが伝わってきた日本では、江戸時代にひのえうまの年は、火事が多く起きると言われるようになりました。当時の江戸は100万人都市で、パリやロンドン、北京を超える世界最大級の都市でした。そのような大都市ですが、建築物は木造であったため、火事が起きると大災害になっていた江戸時代の人にとって、火事は現代よりも大変怖い災害であったと思われます。


    その後、浄瑠璃などで語られる「八百やお七」の話とひのえうまの言い伝えが組み合わされることによって、ひのえうまの迷信ができたと考えられています。


    その迷信が現代にまで影響したことで、1966年に子どもを産むのを控える家庭が多く、その結果として、1966年に生まれた人口が少ないという状況が発生しました。


    ひのえうまに生まれた女性は、自己主張が強く、周囲とトラブルを起こすことがあると信じられてきたことが、悪いイメージを強めてきました。けれど、ひのえうまに生まれた女性は、全員自己主張が強く、周囲とトラブルを起こすような大胆で行動力のある人でしょうか。人の性格は、家族や家庭の状況、近所や地域、学校での友だち関係など、いろいろな要素によって育まれた、個性そのものです。そもそも、ひのえうまの性質が女性に結び付いたのは江戸時代の流行によるもので、事実に基づいたものではありません。

    ひのえうまに対する迷信や悪いイメージは、あくまでも江戸時代の当時の生活背景や文化的背景によるもので、現代ではあくまでも迷信で信じられるものではないと考える人も、多いのではないでしょうか。何より、1966年のひのえうまの年に生まれた人よりも、現代に生まれる人の方が少ないという現実があります。人口減少社会の現代において、ひのえうまに対する迷信や悪いイメージをうのみにして、産み控えをしてしまうことは、例えば、1学年だけ他の学年より大幅に少ないとか、就労の場面で、新規採用者を募集しても、そもそも人口が少なすぎて採用できないとか、多くの場面で、私たちの社会生活のシステムそのものに悪い影響を与えてしまいます。


    自分自身のうちに潜む固定的な考え方が、人を傷つけたり、何かを制限したりするものになっていないか点検してみることや、言い伝えや慣習が事実に基づくものか調べて考えてみることで、「無意識の偏見」や「差別」をなくすきっかけになると思います。

    ひのえうまについて考ええることから、誰もが生きやすい地域社会を創っていきましょう。

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    伊賀市役所人権生活環境部人権政策課

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